スポーツ放映権資料室

スポーツ放映権に関する情報をまとめた資料室です。 「放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ」の別館です。

本館「放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ」https://www.sportmediarights.tokyo/

  • 権利者: DAZN
  • 契約期間: 2021-22シーズンから8年契約 (2028-29シーズンまで)
  • 放映権料: 年間1億円(推定)

DAZNの権利範囲は「インターネット・モバイル配信(海外配信含む)」となっている。
テレビ放送の権利は含まれていないので、別途販売することは可能である。
海外のDAZNでも配信可能だが、現時点ではまだ実現していない。

WEリーグのオフィシャルブロードキャスティングパートナーにDAZNが決定 ~8シーズンにわたって放映が決定~ | WEリーグ | Women Empowerment League


下記の日刊スポーツの記事ではこのように説明されているが、WEリーグはJリーグと同じく映像制作を自ら行っているため、DAZNが制作費を受け取っているという表現は正確ではない。

ただ、放映権料の収入が映像制作費の支出でほぼ相殺される状態であることは確かであろう。
そのため、各クラブに配分することは難しく、より一層の営業努力が求められる。

WEリーグになり、DAZNと契約を結んではいるが、得られる放映権料は事実上ゼロ円。形式上、放映権料を年間1億円程度もらっているが、ほぼ同額が制作費としてDAZNに支払われる。

【なでしこ】女子W杯「もう1度、世界一」期待はいいが…一過性で終わらせぬ準備はできているか - 日本代表 : 日刊スポーツ

DAZNの決算資料は、イギリス政府登記局のWebサイトにて公開されている。
DAZN GROUP LIMITED overview - Find and update company information - GOV.UK


DAZNは2016年に日本・ドイツ等でサービスを開始したが、赤字経営が続いている。
金額が判明している2018年以降の赤字額は以下の通り。

  • 2018年: 6.6億ドル
  • 2019年: 14億ドル
  • 2020年: 13億ドル
  • 2021年: 23.3億ドル
  • 2022年: 12.5億ドル
  • 2023年: 14.8億ドル

2021年末には、親会社であるAccess Industriesから43億ドルの資金調達を行い、累積損失を清算した。

【速報】DAZN、親会社から43億ドルの資金調達。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ

しかし、2022年以降も赤字が続いており、2024年の時点で親会社からの資金提供は総額67億ドルに達している。


2024年については「上位10市場のほとんど」で黒字化を見込んでいるとコメントしている。

【第一報】DAZN、2023年は14億ドルの赤字。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ
【続報】DAZN、2023年の赤字は14.8億ドル。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ


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フィギュアスケートのグランプリシリーズ、世界選手権など主要大会は、ISU(国際スケート連盟)のYouTubeチャンネルでライブストリーミングが行われているが、日本からは視聴できない。
これは放映権の購入者(テレビ朝日・フジテレビ・J SPORTS)がいるための措置である。

そのため、SNSでは放映権を手放せばライブストリーミングが無料で観られるのでは?という言説がしばしばなされる。

その可能性はまったくないとは言わないが、極めて薄いと言わざるを得ない。


●ISUの財政について

ISUの決算報告書によると、2023年の放映権料収入は2,034万スイスフラン(約350億円)である。
2023_ANNUAL_REPORT_signed1731045991.pdf

また、2022年6月に開催されたISU総会では、放映権料の65%はアジアからの収入であり、その中でも日本が最大の市場であると説明されている。
ISU、IOCの分配金減で赤字。放映権料のアジア依存も明らかに。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ

この2点を合わせると、ISUの財政は日本からの放映権料によって支えられている部分が大きい。
もし日本のテレビ局が放映権を買わなければ、必然的に日本企業からのスポンサー収入も減ることとなり、現在の国際大会を維持できなくなる恐れもある。

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●放映権が売れなかった場合

YouTubeで無料開放しても、得られる収入は微々たるものである。
それでも開放するのは、「ダークマーケット」とも称されるまだ放映権が売れていない国への「種蒔き」であり、すでに成熟した日本市場はその対象ではない。

もし放映権が売れなかった場合、もっとも考えられるのはISUが自ら有料課金サービスを開始することである。
もしくは、グローバルで展開するストリーミングサービスに放映権を売却することも考えられる。


●ストリーミングが開放される可能性

日本の熱心なファンがライブストリーミングを希望するのは当然とも言える。
これを実現させるのに、もっとも実現性があるのは、放映権の購入者にライブストリーミングの開放を認めさせることである。
または、テレビとネットの権利を分割し、テレビの権利のみを販売する方法も考えられる。

どちらにせよ、現在テレビ朝日(テレ朝動画)やフジテレビ(FOD)が行っている有料配信を止めさせることになるので、その分放映権料は減ることになるだろう。

ISUが収入と露出のバランスを考慮したうえで、どのような判断をするかが問われる。

2022シーズンから、JLPGAが放映権を一括管理することとなった。

対象は、JGA(日本ゴルフ協会)が主催する「日本女子オープン」、米LPGAの共催である「TOTOジャパンクラシック」を除いた全試合。

●インターネット配信
2022年はDAZNとGOLFTVで配信。
2023年からはDAZNとU-NEXTが配信。それぞれ2年契約。
2025年からU-NEXTと独占契約を発表。5年契約(2029年まで)

JLPGAツアー2025~2029年シーズンのインターネット配信について|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会

●テレビ中継
2022年は移行措置として放映権料は無料だったが、2023年から徴収を開始した。
2023年に提示された金額は以下の通り。

地上波: ネット20局以下は1,000万円、それ以上は1,500万円
BS: 1,200万円

南米は連盟(CONMEBOL)による放映権の一括管理は行っておらず、ホーム開催国の協会が個別に管理している。

●ブラジル・アルゼンチン・エクアドル
日本ではフジテレビが放映権を獲得。FODでライブ配信。
代理店はSportfive。

W杯南米予選、フジが獲得。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ

●ペルー・チリ・ウルグアイ・パラグアイ・ベネズエラ・コロンビア
日本では楽天が放映権を獲得。「Rチャンネル」でライブ配信。
また、2025年3月からはBS12(トゥエルビ)で一部の試合を放送。
代理店はMediapro。

【速報】楽天Rチャンネル、南米予選を配信。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ
W杯出場権獲得へ佳境の南米予選 BS12で4試合の放送・配信が決定 | サッカーキング

●ボリビア
代理店については不明。FIFA+で配信されたことがあり、最新の情報を要確認。

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