スポーツ放映権資料室

スポーツ放映権に関する情報をまとめた資料室です。 「放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ」の別館です。

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2022年、DAZNは月額料金を1,925→3,000円に大幅値上げ。同時に年間プランを導入した。
一方で、2022-23シーズンからプレミアリーグの放映権を失った。(SPOTV NOWが獲得)

そのため、DAZNは放映権を失うことが分かっていながら年間プランを導入し、顧客を欺いたのではないか?との疑惑を招くことになった。


●時系列の整理
2022年1月、プレミアリーグは次期(2022-23シーズンから3年間)の入札を実施。
日本市場においては、1月20日が第1回の入札締め切りであった。

DAZNが料金の値上げを発表したのはその翌日である1月21日
もし1回目の入札で決着したのであれば、DAZNが放映権を失うことを事前に知っていた可能性はある。
ただし、SPOTV NOWを運営するEclat Media Groupが落札したと最初に報じられたのは1月28日なので、この時点では確定していなかった可能性が高い。

来季プレミアリーグ放映権関連時系列まとめ | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ


●値上げ発表のタイミングについて

一般論として、値上げの決定は時間をかけて検討するものである。
もし、1月20日の時点でDAZNが放映権を失うことが分かったとしても、そのこと自体は決定を覆す理由とはならない。

また、発表のタイミングも関係各社との調整が必要なことから、それ以前に決まっていたものと考えるのが妥当である。
現に、当日はDAZNからの正式発表だけでなく、KDDIがauユーザー向けに告知をしていた。


●その後の対応について
SPOTV NOWが正式に放映権を獲得したと発表したのは4月14日のことである。
DAZNは当時の権利者として契約に関する守秘義務を負っているが、SPOTV NOW側が正式に発表した時点で、少なくとも翌シーズン以降の件については公知になった。

DAZN側はこの発表を受け、珍しく「来季の放映権を保有していない」ことを認める声明を出した。ただし、この時点ではまだ諦めておらず、引き続き関係者との協議を続けるとしている。

結果的に獲得はできなかったが、その後とくに新たな発表がなかったことについては疑問が残る。

なお、2019年にDAZNがプレミアリーグの放映権を獲得した際の発表では「2019-20シーズンより3シーズン」の契約であることが明示されており、2021-22シーズンが契約の最終年であることは公知の情報だった。
値上げが発表された時点で、この点を指摘するメディアがなかったことも残念な点である。もちろん、DAZNが自ら周知するという選択肢もあっただろう。

DAZNが来季以降のプレミアリーグ全試合独占配信を発表! 2019-20シーズンから3年間 | サッカーキング

アメリカ国内

2023-24シーズンからいわゆる4大ネットワークとAmazonが11年契約を結んでいる。
放映権料(推定)と主な対象試合は以下の通り。

ディズニー (ABC、ESPN)
  • 年27億ドル
  • Monday Night Football
  • プロボウル
  • スーパーボウル (2026,2030シーズン)
FOX
  • 年22億ドル
  • 日曜昼の試合(ローカル枠、NFC)
  • スーパーボウル (2024,2028,2032シーズン)
CBS
  • 年21億ドル
  • 日曜昼の試合(ローカル枠、AFC)
  • スーパーボウル (2023,2027,2031シーズン)
NBC
  • 年20億ドル
  • Sunday Night Football
  • スーパーボウル (2025,2029,2033シーズン)
Amazon

Google (YouTube TV)は「NFL Sunday Ticket」の販売権を獲得している。
NFL Sunday Ticketは、全米中継される試合を除いた全試合を視聴できるパッケージ。
2023~29年の7年契約で、年20億ドルと推定。
【速報】NFLサンデーチケットはYouTubeに決定。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ

Netflixは、クリスマスに開催される試合の独占配信権を獲得。
2024~26年の3年契約。2024年は2試合が開催され、放映権料は1.5億ドルと推定。
【追記あり】Netflix、NFLのXmasゲーム配信。そしてWWEは? | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ


グローバル(日本含む)

全試合を視聴できるパッケージ「NFL Game Pass」の販売権をDAZNが獲得。現在、DAZNのサービス内に組み込まれている。
2023年からの10年契約で、総額10億ドルと推定。
【速報】DAZN、NFLと10年契約。Game Passの販売権獲得。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ


日本

日テレジータスで放送あり。
DAZNは、上記「NFL Game Pass」以外に通常の会員向けに配信を行っている。

テレビ朝日は2017年、AFCと4年総額180億円の契約を結んでいたとされる。
【解説】W杯アウェー予選が地上波消滅、放映権高騰で恐れていたこと起きた - 日本代表 : 日刊スポーツ

2021年以降の放映権については、AFCの代理店が従来の電通から中国系のFMAに変更。FMAはAFCと8年総額20億ドル以上の契約を結んでいたとされる。
これにより、従来よりも放映権料が跳ね上がったものと推定され、テレビ朝日には手が出せなかった。

※なお、上の記事では、FMAがテレビ朝日に対して8年総額2000億円を提示したような記述があるが、実際には(中東を除く)アジア全体の数字なので、日本単独のものではない。


交渉が暗礁に乗り上げたことから、AFCはFMAとの契約から日本向けの権利を切り離すことを決断。電通と改めて契約を結んだ。
電通はDAZNに放映権を販売し、ホーム開催など一部の試合をテレビ朝日にサブライセンスすることで決着をみた。
この流れにおいて、DAZNは放映権料をつり上げた当事者とは言えない。

AFCとDAZNの放映権契約時系列まとめ | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ


その後の報道によると、DAZNが結んだ契約について、放映権料は60%下落したとしている。
つまり、放映権料のつり上げ以前に、そもそもテレビ朝日には放映権を維持する体力がなかったと言える。

The value of Asian Football Confederation rights dropped by 60 per cent in the current cycle
Ambitious Eclat sends Premier League fees up in Japan and Korea | SportBusiness Media

  • 権利者: DAZN
  • 契約期間: 2021~28年の8年契約
  • 代理店: 電通

AFC(アジアサッカー連盟)が主催する大会の放映権について、2021年から中国系の代理店・FMAが契約。
日本側との交渉が難航したため、AFCはFMAから日本向けの権利を分離し、電通と改めて契約。
電通はDAZNに放映権を販売し、テレビ朝日に一部サブライセンスする枠組みを作った。

その後、FMAはAFCから契約をすべて打ち切られている。
AFCとDAZNの放映権契約時系列まとめ | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ


●ワールドカップアジア予選
最終予選のみAFCが放映権を管理。
アウェー開催はDAZNが独占配信。ホーム開催はテレビ朝日にサブライセンスしている。

2次予選まではホーム開催国が放映権を管理しているため、アウェーの試合については相手国と交渉する必要がある。
2023年11月のvs.シリア戦では、シリア側の代理店と交渉がまとまらず放送がなかった。
【残念】シリア戦の放映権交渉、2日前にブレイクか。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ

●アジアカップ
2023年と2027年の大会が対象。
DAZNはグループステージ2試合と、決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)を独占配信。他の試合はテレビ朝日にサブライセンス。
DAZNがAFCと長期契約! 2028年までW杯予選、五輪予選など各アジア大会中継へ | ゲキサカ


●ACL
秋春制に移行したため、実質的には2028-29シーズンまで。

日本国内
  • 権利者: DAZN
  • 契約期間: 2024-25シーズンから4年間(2027-28シーズンまで) ※推定
  • 代理店: Pitch International
代理店が販売している権利は全試合ではなく、EFLが指定した国際中継のカードに限定されることに注意。
  • EFLチャンピオンシップ: 年間155試合
  • リーグ1・2: 年間38試合
  • 昇格プレーオフ: 全試合
  • カラバオカップ: 全試合
  • Bristol Street Motor Trophy: 3試合

指定カードはEFLのWebサイトを確認のこと。
Homepage - The English Football League

それ以外の試合はホーム開催のクラブが放映権を持っており、各クラブが独自で運営する配信サービス、もしくはEFL共通のプラットフォーム「iFollow」で配信される。

EFL、新たに2社と代理店契約。カラバオは全試合放送。 | 放映権事情を妄想しながらスポーツ中継を楽しむ



イギリス
  • 権利者: Sky Sports
  • 契約期間: 2024-25シーズンから5年間 (2028-29シーズンまで)
  • 放映権料: 9.35億ポンド (1年あたり1.87億ポンド)
  • 備考: 年間1,059試合以上が放送される予定

放送が保証されている試合数は以下の通り。
  • チャンピオンシップ: 328
  • リーグ1: 248
  • リーグ2: 248
  • プレーオフ: 15
  • カラバオカップ: 93 (全試合)
  • EFLトロフィー: 127 (全試合)

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